神の庭の極楽と天国

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近くの神社の境内の奥にある林に極楽が生えてきた。みるみる大きくなると、その天辺に迦陵頻伽が巣をかけた。
ソイツが朝早くから夜遅くまでキィキィ、キィと大声で鳴き騒ぐものだから近所の住民からの苦情が絶えない。
しかし当の神社の神様は宗教の違いなんて気にもならないらしく、我関せずといったところで泰然としている。時おりこのカラヴィンカが無遠慮に肩や頭にとまるのが満更でもないらしく、こっそり懐から出した菓子なんぞを与えているのを見かける。
ただ、神社の御神木に間借りしていた天使たちが、本来なら彼らと変わらない立場のはずの我が身はさておき、縄張りを荒らされてご立腹のようだ。普段は仕事もせず、日がな一日ぼんやりとしては神様と世間話をして過ごしていた天使たちが色めきたっている。
神域であるはずの境内の一画は一触即発、宗教戦争の様相を呈している。
その他
公開:20/11/20 13:13

たそがれる猫の城

主にTwitterで140字小説やマイクロノベル等、短いお話をのんびりと書いています。

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