僕を呼ぶ声

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 僕は生まれつき難病を持っているらしい。でも世界一幸せ者だと思った。

 だってママはいつだってそばにいて、優しく頭を撫でてくれる。パパは「びーる」というものを飲みながらお話しをしてくれて、美咲ちゃんはよく一緒に遊んでくれた。

 難病のせいで歩くことも困難になってしまったが、それでも動く椅子に座って行く皆でのお出かけは、最高の宝物だった。

 時にはイタズラがバレて大激怒されたりしたが……それもまた大切な思い出だ。

 ほら。今だって、家族揃って僕を見守ってくれている。

 最近は病気が悪化してきて寝て起きての繰り返しだったが、もう限界みたいだ。今眠りにつくと、もう二度と目を開けることは出来ない気がした。

 だから最後の力を振り絞り、家族一人一人の顔を見渡す。

 そして僕は。

「ポチ、もう無理しなくていいよ。ありがとう」

 美咲ちゃんの涙声とありったけの笑顔で、天へと羽ばたいた。
その他
公開:20/11/20 07:10
更新:20/11/20 07:12
400字 幸せ

十六夜

こんにちは 「いざよい」です。
ただただ好きで小説を読んだり書いたりしている高校生です! 
お気に入り、コメントを頂き感謝です(⋆ᵕᴗᵕ⋆)"

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