有閑マダム焦る（下）　～こびと派遣業 ミジェット～

『私たちの屋敷はこんなにも素敵だったのね』櫻子はうっとりしていた。

「年に一度、大掃除の月にこの水準まで美しくします。季節ごとに１回、中掃除とでも言いますか大きな汚れを落とし、日々は目立つ部分を中心に掃除していきます」
『特別な日にお願いすることはできますでしょうか？』
「それはもう、早めにご依頼いただければ」
『食事の方は、掃除の件が軌道に乗ってからのご相談で宜しいでしょうか？』
「はい、その優先順位がいいと思います」

その夜、ご主人が帰って来た。櫻子が優雅に迎える。
「あなた、どう、家の雰囲気？」
『確かに変わったね。とても美しくなったし、清潔感が出ている』
「私もびっくりしたわ。こんなにきれいになるなんて」
『櫻子の努力が実ったんだな。選ぶのも努力のうちだ。ミジェットにはお礼を言わなくちゃね』

そして広間の真ん中で二人は久しぶりにワルツを踊り、長いキスをするのだった。