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散歩中、無性に心惹かれる光景に出会い、立ち止まってしまう瞬間があるだろう。
たとえば今。君は色付いた楓の梢を見上げて、重なり合った葉を透過する木洩れ日が、天然のステンドグラスを造り上げていると思う。
冬枯れのセピア・モノクロームから、雪化粧で染めたシルクスクリーンへ。やがて春の芽出しの淡紅を煌めかせた光は、緑風のカーテンをどんなグラデーションで揺らすだろう。爪先立って子供の様に回りながら、君は気付いたに違いない。くるくる巡る万華鏡の様に、この日、この時、この色彩を構成する全てに、ひとつとして同じものはないのだという事を。
きらきら散り落ちる一枚を受け止めて、君はまた新しい物語を織っている。
早足に歩き出したその影も、確かに刹那の一部である事を、いつか君は知るだろうか。木洩れ日を栞に挟んだ本から、滑り出した言葉が風に乗る。
探しに行こう、まっさらな今日の続きを。
まだ散歩は始まったばかり。
たとえば今。君は色付いた楓の梢を見上げて、重なり合った葉を透過する木洩れ日が、天然のステンドグラスを造り上げていると思う。
冬枯れのセピア・モノクロームから、雪化粧で染めたシルクスクリーンへ。やがて春の芽出しの淡紅を煌めかせた光は、緑風のカーテンをどんなグラデーションで揺らすだろう。爪先立って子供の様に回りながら、君は気付いたに違いない。くるくる巡る万華鏡の様に、この日、この時、この色彩を構成する全てに、ひとつとして同じものはないのだという事を。
きらきら散り落ちる一枚を受け止めて、君はまた新しい物語を織っている。
早足に歩き出したその影も、確かに刹那の一部である事を、いつか君は知るだろうか。木洩れ日を栞に挟んだ本から、滑り出した言葉が風に乗る。
探しに行こう、まっさらな今日の続きを。
まだ散歩は始まったばかり。
ファンタジー
公開:20/11/19 20:59
散歩道で見た
シーズン3₋⑭(終)
万(よろず)のことの葉
おかげ様で、SSG投稿
通算1400本を越えました。
(※本作で1405本)
いつもありがとうございます!
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO
ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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