夕暮れ自動販売機

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拓也はバットを構えるといつものように古びた自動販売機目がけて振り抜いた。
ガコンっ!と中から音がしてジュースが受け口に落ちてくる。
金も払わず、いつものようにジュースを拾い上げる。…はずだった。
拓也の手がジュースを掴んだまま受け口から離れない。
それどころか拓也の手が自動販売機の中へと吸い込まれていく。
「たっ!助けてくれ!」
悲鳴を上げる拓也に手を貸す雄二。雄二の手は拓也の手から離れなくなり、二人して自動販売機の中へと吸い込まれて行く。
辺りは静まり返った。
目の前の古びた自動販売機が、闇色に染まっていた自動販売機が夕暮れのような朱に染まっていく。
ガコンっ!と中から音がして何かが受け口に落ちてくる。
ジャラジャラと音を立て、つり銭の受け皿に何かが落ちてくる。
拓也と雄二であった物が姿を変えて吐き出された。
自動販売機の朱が赤に変わっていく。
それはまるで新品のような輝きを放っていた。
ホラー
公開:20/11/20 19:07

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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