夕暮れ自動販売機

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仕事帰りの私は夕暮れ自動販売機の前に長い間立っている。そして、悩んでいる。凄く悩んでいる。
朝日のように皆を照らす笑顔が私の自慢だった。でもそれが最近になってあまり評判が宜しくない。
「もう少し、その光を抑えてみたら?」
部長からのアドバイスに「考えておきます…」と答え、今日は早めに帰らせてもらった。
私の強すぎる光に男が寄ってくる。それが今は煩わしい…
そんな時に見つけたのが夕暮れ自動販売機だ。
熟考の末、私は自動販売機のボタンを押した。
海に沈んだばかりの夕日の欠片が吐き出される。
私は頭上に輝く朝日の欠片を取り外すと夕日の欠片へと取り替えた。
私の目の前が橙色に光り輝く。温かな光が私の顔を照らし出す。

「チョウチンアンコウさん、最近変わったね。そっちの方が魅力的だよ」
深海で働くキャリアウーマンの私は夕日のように皆を包む笑顔を振りまいている。
進化も社会も、変化を恐れちゃダメね。
公開:20/11/18 19:35

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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