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「ピートさん、RAINBOW下さい」
男の子がワゴンの販売口に背伸びをしてコインをトレイに乗せた。ブロンドの巻き毛が水色の帽子からぴょこりと覗いている。鞄にぶら下がるブーツを見てピートは思わず吹き出した。
「学校から真っ直ぐ湖を滑ってきたな、ジミー」
冬は湖面リンクとして町の人たちの憩いの場になる。
「今日は絶対食べたいって思ってたんだ」
「それは嬉しいね」
ピートは細くて長い指でレモンを取り出しスライスする。キリッとした良い香りがジミーの鼻先をくすぐる。蜂蜜とレモンで作った特製シロップをお湯に溶かし、ほんの少しのジンジャーと輪切りのレモン、虹を模した飴細工を飾った。粉砂糖をひとふりすれば名物「RAINBOW」の出来上がり。
「熱いから気を付けてな」
「うん」
店前のベンチに座って飴細工をパリパリ食べる。
「これ皆には秘密な」
試験管に入れたRAINBOWの欠片がキラリと光る。
青春
公開:20/11/18 19:02
RAINBOW ホットレモネード

射谷 友里

射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。

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