幸せは一瞬で壊れゆく

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トンテンカン。カンカンカン。
家を建てよう、僕らの家を。
トンテンカン。トントントン。
もっと深く穴を掘れ。
トンテンカン。カンカンカン。
心配するな。食料ならそこら中に散らばっている。
「お父さん、もうすぐボクらの家が完成するね」
「ああ、ここは立地も良いし、食べ物も沢山あるし、言う事ないな」
「弟や妹達も、いっぱい遊べるね」
「ああ、大きくなったら、お前達もこの近くに自分だけの家を造るんだぞ」
「うん、ぼく、がんばるよ!」
トンテンカン。カンカンカン。
来る日も来る日もカンカンカン。
トンテンカン。トントントン。
明日も明後日もトントントン。

けれど、今日は違う音がする。

ギュイイイイイン

「ああ、駄目だ。此処も駄目だった。新しい場所を探さなきゃ」

時間を掛けて掘ったお家は、あっという間に削られた。



「はい、おしまい。これからはちゃんと歯磨きするんだよ」
「はーい・・・」
その他
公開:20/11/19 11:04

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