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彼はもう一歩も動くことができなかった。
疲れ果て、何をする気力も残されてはいなかった。
波の音が繰り返し聴こえる。潮風が、周りの砂を弄んではまたどこかへと流れていく。
いつからか声が聴こえるので見上げると、ぼやけた顔の誰かが見えない口を動かしていた。
彼は必死で、食べ物を、何でもいいから恵んでほしいと訴えた。
相手は頷いたように見えた。
長旅だった。
村を救うため、一攫千金を夢見て国を出た。
仲間たちは次々と消えていった。ある者は騙されて、ある者は土地に根付き、ある者は諦めて帰っていった。
自分の旅も、もうすぐ終わる。彼はそう考えていた。
そのとき、金色に輝く船が沖を渡っていくのが見えた。
目をこすり、体を起き上がらせる。
気づいたら走り出していた。
宝の船だ! あの船に乗って国へ帰ろう!
女が食物を持って海岸に戻ると、彼は姿を消していた。
砂浜の足跡が、波の中へと続いていた。
疲れ果て、何をする気力も残されてはいなかった。
波の音が繰り返し聴こえる。潮風が、周りの砂を弄んではまたどこかへと流れていく。
いつからか声が聴こえるので見上げると、ぼやけた顔の誰かが見えない口を動かしていた。
彼は必死で、食べ物を、何でもいいから恵んでほしいと訴えた。
相手は頷いたように見えた。
長旅だった。
村を救うため、一攫千金を夢見て国を出た。
仲間たちは次々と消えていった。ある者は騙されて、ある者は土地に根付き、ある者は諦めて帰っていった。
自分の旅も、もうすぐ終わる。彼はそう考えていた。
そのとき、金色に輝く船が沖を渡っていくのが見えた。
目をこすり、体を起き上がらせる。
気づいたら走り出していた。
宝の船だ! あの船に乗って国へ帰ろう!
女が食物を持って海岸に戻ると、彼は姿を消していた。
砂浜の足跡が、波の中へと続いていた。
その他
公開:20/11/17 07:00
さまようアラフォー主夫
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