クロスワード花子さん

　パズルを好む幽霊はいるのか。
　妙な疑問を持ってしまった、青年T。さっそく、幽霊がいるともっぱらの噂の、女子トイレへ。
　クロスワード初級編を置き逃げした。翌日、女生徒にバレぬよう、再びトイレへ侵入。
「わっ、綺麗に解かれてる！」
　でも、幽霊の仕業と、決まったわけではない。予め用意していた中級編を仕込む。
　翌日、翌々日は変化なし。これまでかと思いきや、一週間経った頃に解かれていた。
「俺よりも解くの早えぇ」
　調子に乗って上級編を置いてきた。今度は二週たっても変化せず。
「やっぱ、誰かのイタズラだったのかな」

　三日後、青年Tは全身の倦怠感（特に肩）で、学校を休んだ。
　深夜、急に目が覚めた。体が全く動かない。
「かなしばり！？」
　言おうとしても、口すら動かず。頭の上に人の気配。気配が消えるのを待ち、頭を上げる。
　壁に出現した、血文字の内容はこうだった。
『まだ、解き途中』