夜のピアノ

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 T高の音楽室にある、夜分ひとりでに鳴るピアノ。不気味過ぎて、誰も使いたがらず、荒れたまま放置されていた。
「捨てます?」
「でも、祟られたら怖いし」
 教員同士で話し合っても、全く解決策が浮かばない。そこで、音楽教師は、吹奏楽部員に助けを求めた。
「何か、いい案はないかな?」
「いっそのこと、徹底的に綺麗にすれば、霊も逃げるのでは」
 作戦は実行された。
 まず、音楽教師が、恐る恐るピアノを掃除した。結果、鳴る頻度が上がった。
 次に、整備士を呼び、徹底的にメンテナンスしてもらった。
「使い古されてはいますが、壊れた所はないですね。本当に怪現象としか……」
 腕は拙いものの、曲のような旋律が響くようになった。続けて、調律師にも来てもらい、微調整。
 最後に、全校生徒を体育館に集め、盛大な拍手でピアノを歓迎。
 音楽教師が指揮棒を大きく振り上げると、ピアノはノクターン:2番を奏で始めた――
SF
公開:20/11/17 21:41
更新:20/11/16 21:44

ゆぅる( 東京 )

お立ち寄りありがとうございます。ショートショート初心者です。
拙いなりに文章の面白さを追求していきたいと思って日々研究しています。
よろしくお願いします!

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