Ⅱ.007 バンビーニ・メートル

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 ハロウィンの夜。
 一組の"家族"が特製カートに"命"と"愛"を乗せ、"死"の波を掻き分けていた。
「でも意外ね」
「何が?」
 "死"を払い除ける長女がこぼした言葉を、母が拾った。
「父さんがこんなバカ騒ぎに乗っかることが」
「何か言ったか?」
「何でもない」
 彼女の父親は教師であり、厳格な性格から慕われると同時に畏れられてもいた。その父は現在、全力でカートを漕ぎ続けている。
「そこまで不思議なことではないでしょ。娘と息子のためでもあるんだから。あなたもそろそろいい出会いがあればいいわね」
「それは大きなお世話」
 ぶっきらぼうに返した彼女には、結婚した妹がいる。
 相手の男は、どこか捉えどころのない不思議な魅力を持っており、父親の方もそこに魅かれたのか、彼を知る家族も拍子抜けするほどあっさりと男を迎え入れた。
 彼の息子となった男は、今や"ハロウィンの夢"と呼ばれている。
ファンタジー
公開:20/11/18 00:26
ファンタジー 連作 家族 教師 ハロウィン

Arujino( 東京都練馬区 )

まずは、こんにちは。

練馬区で活動中の、趣味の絵描きです。

小説・脚本なども執筆してます。

【番号なし】 用語・設定解説

【Ⅰ】 連載作品『WonDer BroS』 探偵と怪盗の対決が娯楽化した世界での物語。

【Ⅱ】 短編連作『Story Of Dri(P)Party』

【Ⅲ】 連載作品『根源悪の牧場』 戦争による差別と弾圧に支配された世界での物語。

【Ⅳ】 連載作品『ドライワンダーに遣う』

【001~】 短篇集『short TaleS』
 

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