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散歩中、川沿いの鉄橋を渡りしな、遮断機の音を聞いた気がした。
近くに駅も踏切もないのに。立ち止まって首を傾げてたら、アナウンスに追っ掛けられた。
『まもなく2番線、1号風車通過いたします』
2番線って、見るからに1本なんだけど。それより今『風車』って言った?考える間もなく(本当に)プアァァ――!って、巻き上がる音と風圧がアタシの背中を直撃した。
身体ごと持って行かれそうになったのは、ほんの何秒かだと思う。
錆ついた鉄橋を茶色い塊が走り抜けた。警笛の音と、ざあぁぁ――っと波みたいな響きが尾を引いて。ふつっ、と静かになる。
電線に引っ掛かって落ちたのは、この辺にないコナラの枯葉。茶色に薄く張った霜が、手の中で融けてく。身震いするくらい急に寒い。襟をぎゅっと詰めてアタシも走った。
きっとあれ、木枯らし1号だったんだ。吐き出した息がSLの煙みたいで気持ちが上がる。家まで500m、エンジン全開!
近くに駅も踏切もないのに。立ち止まって首を傾げてたら、アナウンスに追っ掛けられた。
『まもなく2番線、1号風車通過いたします』
2番線って、見るからに1本なんだけど。それより今『風車』って言った?考える間もなく(本当に)プアァァ――!って、巻き上がる音と風圧がアタシの背中を直撃した。
身体ごと持って行かれそうになったのは、ほんの何秒かだと思う。
錆ついた鉄橋を茶色い塊が走り抜けた。警笛の音と、ざあぁぁ――っと波みたいな響きが尾を引いて。ふつっ、と静かになる。
電線に引っ掛かって落ちたのは、この辺にないコナラの枯葉。茶色に薄く張った霜が、手の中で融けてく。身震いするくらい急に寒い。襟をぎゅっと詰めてアタシも走った。
きっとあれ、木枯らし1号だったんだ。吐き出した息がSLの煙みたいで気持ちが上がる。家まで500m、エンジン全開!
ファンタジー
公開:20/11/17 18:50
更新:20/11/17 21:30
更新:20/11/17 21:30
散歩道で見た
シーズン3-⑫
木枯らし鉄道1号車
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO
ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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