シンギュラリティ元年

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投票率99.99%。
議院内閣制が始まって以来、最も投票率の高い選挙であった。
あらゆるメディアが投票を促した。国民の間で「Go to Vote」が合言葉になった。投票日はほとんどの企業が休業した。
開票速報が流れる。与党「自由人間党」の得票総数は1億2000万票。須田首相の顔が蒼白になる。野党「ロボット第一党」の得票総数は98億8000万票であった。
「やられた」
須田は、絞り出すように呟いた。投票日前日に、ロボットが増産されていたのだ。
「須田総理、後は私達にお任せ下さい」
ロボット第一党代表RN-1809型が、須田の目の前に立っていた。
「国民の意志によって私達は選出されました」
RN-1809型は胸を張った。
「実現してみせます。ロボットの、ロボットによる、ロボットのための政治」
須田は歯噛みした。やはり、ロボットに人権なぞ与えたのは、間違いであった。
SF
公開:20/11/14 14:19

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