いつか迎えに行くからね

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それは金木犀の香る頃。
その人はいつも金木犀を見上げている。
ツバの広い帽子を被って顔はハッキリ見えないけど、綺麗な人だと思う。

その人に会うのは年に数回。
金木犀の香る今だけ。社会人になってこの道を通るようになってからだから、もう7年か。
けどそれも今年が最後。

医者に余命宣告されたよ、あと少しの命だって…

家族に連絡をと言われたけど、両親と姉は俺が10歳の時に事故で死んだ。それから俺は養護施設に入って死に物狂いで頑張ったよ。一人になった俺をバカにする奴らを見返すために。

こんなに早く死ぬなら俺は何のためにたった一人で頑張ってきたんだ…

「翔ー」

振り返るとそこにはあのツバの広い帽子を被った、母さんに似てるけど母さんじゃない。

「…姉ちゃん?」

その人は頷きながら、
「いつも見守ってたよ。もう一人で頑張らなくていいから」

それから俺たちは、とても温かい光に包まれたんだ。
その他
公開:20/11/16 16:26
更新:20/12/11 16:56

晶馨

令和1年大晦日からこちらで投稿しております。
令和2年6月から5ヶ月ほどお休みしてましたが、11月に出戻ってきました。
投稿頻度は遅いですが、自分のペースでゆっくり頑張ろうと思ってます。
現在、自宅がWi-Fiじゃないので返信は遅れると思いますが、色々感想など教えていただけると励みになりますので宜しくお願いします^^

(アイキャッチ画像が登録しても登録してもいつの間にか勝手に消えまして、今回は以前のプロフィール文まで消えました。自分のタブレットがおかしいのでしょうか。少々いや、かなり手間取っております(-_-;))

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