冬の楽しみ

学校帰り。
家に近付くと、何かが焼ける音と匂いがする。早足で家へと向かうと、庭から煙。
「おじいちゃん！」
「おうおう、帰ったかね。ちょうどオイモさん焼けたところよ」
庭で燃える焚き火の中から、トングでアルミホイルに包まれた焼き芋を取り出す祖父は、そのアルミホイルを軽く剥いで私に渡す。学校帰りのランドセルを背負ったまま、熱々のそれをふぅふぅと冷まして、口に頬張る。
「あふっ！あふぃ！！」
「焼きたてだからなぁ。落ち着いて食べんかい」
そう言って撫でてくれる祖父の手は、大きくて硬くて、ゴツゴツで、でも優しくて大好きだった。



「お、焼き芋だ」
スーパーの一角で、個包装されて売られている熱々の焼き芋。つい懐かしい気持ちになって、予定に無かったのに一つ購入。家まで待ちきれず、帰り道で一口頬張る。
「んー、あふ」
熱々の焼き芋は、昔食べたのと同じ味。でも、何でだろう。
「昔のが美味しかったな」