赤い糸

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朝起きると、小指に赤い糸が結ばれていた。
ハサミでは切れない。家族に見せても「何言ってるんだ?」と言われた。どうやら、実態がないものらしい。ためしに糸をたどっていくと、家の外まで続いている。
『運命の赤い糸』そんな言葉がスパークした。
この糸の先に、運命の人がいる!私は、運命の人を探す旅に出た。
旅は、困難を極めた。
誰にも見えない糸を追う、もしかしたら、自分の幻想かもしれない。
糸はそんな私に「大丈夫、信じて」と語りかけるように、真っ赤な道を私に示してくれた。
やがて何十年もの月日が経ち、世界中を巡った私がたどりついたのは、かつて出発した私の隣の家。世界一周して戻ってきたのだ。
ドアをあけると、あの子が…。

目を覚ますと、そこはいつものベッド。年も取ってない。夢だったのか。
頭をかいた自分の手をみると、小指に赤い糸。
この糸は誰に繫がっているんだろう。
ここは、宇宙の果ての、無人の星。
公開:20/11/16 01:13

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