コタツムリ

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北国のこの田舎で、秋から冬にかけて落ち葉の上などで見かけるのがコタツムリだ。
コタツムリの外見は、よく梅雨の季節に紫陽花などで見かけるカタツムリとそっくりだけれど、背負っている貝殻の形は、球型や饅頭型ではなく、寒くなるこの季節に部屋などに置く四角いコタツとそっくりなんだ。
コタツの形をした貝殻の中から暖かい空気が流れているので、コタツムリを拾って携帯カイロの代わりに使っている人がいる。
暗くなる夕暮れ時にコタツムリを見かけると、貝殻のあたりが赤く光っているからすぐ見つかるよ。光の正体は赤外線で、血行が良くなると冷え性の人からも大好評なんだ。
実は、コタツムリを人間以外にも好きな生き物がいてね。ほら、あのコタツムリのまわりに群がっているから見てごらん。
草むらの奥でコタツムリを囲むようにいくつもの目が光っている。そして、それらが一斉に「ニャーン、ゴロゴロゴロ」と気持ち良さそうに鳴きだした。
その他
公開:20/11/13 19:32
北国 田舎 落ち葉 梅雨 紫陽花 カタツムリ 貝殻 コタツ

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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