それは背徳の

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草木も眠る丑三つ時。
何かに起こされるように目を覚ました私は、自分のいた部屋を静かに出て行く。
明かりの無い廊下。
父と母の寝室の前を通り過ぎて、私は一階へ向かう。

嗚呼、駄目だ。駄目だ。
コレは駄目なことだ。

頭ではそう理解しているのに、身体は言うことを聞いてはくれない。
いや、頭の中でも理解しているのはほんのひと握りだ。残りは欲望と本能に圧迫されている。
つまるところ、この衝動を抑えることが出来ないのだ。
そうして気が付くと、私は台所にいて。
手には、研ぎ澄まされた包丁。

「はぁ···はぁ···!」

もう、抑えられない。
私は、持っていた包丁を勢い良く振り下ろした。



「···っあー!深夜のラーメン本当サイコー···!」

温かい湯気が立つ器からスープを一気に啜ると、身体中が瞬時に温まる。母お手製のチャーシューがまた良い味を出している。

「···ダイエットは明日からだな」
その他
公開:20/11/13 11:57

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