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「来たね」
「来たよ」
双子の姉妹が樹上から見下ろす。使い古した布袋を肩に下げ、頭からフードを被った男がひとり、夜の山道を歩いて来る。
「目が見えないみたいだね」
「でも視えてるみたい、あたしたちのことも」
男は立ち止まって上を見た。老いた皮膚、痩けた頬。白濁した灰色の目が月光を反射している。
夜を住処にしている鳥たちが木々の間を飛び交う。どこかから狼の遠吠えが轟いてくる。
「ただものじゃないな」
「ただものじゃないね」
男はしゃがみこんで袋を少し開き、中を探り出したかと思うと、突如腕を振り払った。
姉妹らの居場所へ向けて、なにか鋭利なものが飛んでくる。
素早く身を避けると、二人の残像を突き抜けたそれは闇夜の奥へと消えていった。
二つの狐火がどこからともなく現れ、男の周りを旋回し始める。
「神の冒涜!」
「神の冒涜!」
うつむいた男の瞳が赤く輝き、両手から紫色の炎が立ち上がった。
「来たよ」
双子の姉妹が樹上から見下ろす。使い古した布袋を肩に下げ、頭からフードを被った男がひとり、夜の山道を歩いて来る。
「目が見えないみたいだね」
「でも視えてるみたい、あたしたちのことも」
男は立ち止まって上を見た。老いた皮膚、痩けた頬。白濁した灰色の目が月光を反射している。
夜を住処にしている鳥たちが木々の間を飛び交う。どこかから狼の遠吠えが轟いてくる。
「ただものじゃないな」
「ただものじゃないね」
男はしゃがみこんで袋を少し開き、中を探り出したかと思うと、突如腕を振り払った。
姉妹らの居場所へ向けて、なにか鋭利なものが飛んでくる。
素早く身を避けると、二人の残像を突き抜けたそれは闇夜の奥へと消えていった。
二つの狐火がどこからともなく現れ、男の周りを旋回し始める。
「神の冒涜!」
「神の冒涜!」
うつむいた男の瞳が赤く輝き、両手から紫色の炎が立ち上がった。
ファンタジー
公開:20/11/15 07:00
更新:20/11/14 05:31
更新:20/11/14 05:31
さまようアラフォー主夫
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