高嶺の花子さん

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今日も僕は塔を見上げる。頂上付近の窓辺で美しい女性が本を読んでいる。
女性はこちらに気付くと手を振って来る。僕も手を振り返し、彼女とお近付きになる方法を考える。
「良かったら花子に会ってやってください」
塔から出てきた老夫婦が言った。彼女の祖父母かな?
「花子は貴方を待っています」
その一言で嬉しくなり、僕は塔を登り始めた。
塔の中は複雑怪奇。迷路のような作りを突き進む。引き返すなんてありえないし、諦めるなんて考えもない。
高嶺の花である彼女を手にするのは僕だ!

長い時間をかけ、僕は彼女の元に辿り着いた。
彼女の姿を見た僕は愕然とする。彼女は老婆だった。
時間をかけすぎた…鏡を見ると僕もすっかり爺になっている。
でも…これはこれでお似合いか。
彼女は微笑むと僕の手を取った。

二人で外を出ると入口で塔を見上げる若者に出会った。
僕は若者に「良かったら花子に会ってやってください」と告げた。
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公開:20/11/11 18:42

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