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ここは、愛媛にある小さな小児科医院。
インフルなどが流行る時期以外は、めったに人を見ることがないという、田舎の診療所である。
「おだいじに」というセリフを背中で聞きながら、注射を終えた小学生男児が、医院を後にした。
その瞬間、彼の首は体から離れ、体はというと、外に待ち構えていた鬼に食べられてしまった。
後には、噴き上がった血痕と、苦々しい顔をした鬼だけが残っていた。
鬼は、その医院の医師に電話をして言った。
『おい、お前のとこから出てきたガキ、薬臭くて食えたもんじゃない。医師なんてやめちまえ』
「いやあ、そう言われましても…」
医師はうろたえた声を出す。
『せっかくの肉が台無しだぜ』
「じゃあ食べなきゃいいじゃありませんか」
『そうだな。現代のガキを食うのはもうやめだ』
ぷつんと電話が切れ、医師は電話を置いて一息つく。
「ふう…私にとっては美味なのですがねえ…」
彼の口から滴るものは…
ファンタジー
公開:20/11/12 20:40

かさ( 愛媛 )

来年以降のいきかたが決まりましたヽ(=´▽`=)ノ

コメント読んだりお返事したりするのはとても好きなので、気楽にコメントいただけると嬉しいです。

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