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幾つの時のことか。憶えている姉の面影からして、恐らく私が五つ六つの頃、公園の小池でボートに乗った。たしか、姉が乗りたいと駄々をこねて、あの鳥だか何だかを模したボートに私は渋々乗った。
母がリズミカルに櫂を漕ぐとボートはふよふよと進んだ。
私は寝てしまうんじゃないかと思うほど退屈で、ボートから身を乗り出して池を覗いていた。
「坊や、あまり身を乗り出さないで。」
「こんなにお天気なのにお空を見ないなんて!」
私はその様な声を背中であしらった。池の奥深く、緑色をした水のその中で、二つのビー玉が鈍く光るのを見つめていた。夢中になって見つめていると、やがてその二つのビー玉はパチパチと点滅して、ふいと揺れると消えた。
後にも先にも、私が人魚と見つめ合ったのはその一度きりである。
母がリズミカルに櫂を漕ぐとボートはふよふよと進んだ。
私は寝てしまうんじゃないかと思うほど退屈で、ボートから身を乗り出して池を覗いていた。
「坊や、あまり身を乗り出さないで。」
「こんなにお天気なのにお空を見ないなんて!」
私はその様な声を背中であしらった。池の奥深く、緑色をした水のその中で、二つのビー玉が鈍く光るのを見つめていた。夢中になって見つめていると、やがてその二つのビー玉はパチパチと点滅して、ふいと揺れると消えた。
後にも先にも、私が人魚と見つめ合ったのはその一度きりである。
その他
公開:20/11/12 01:58
はじめまして。
自分がしたためていた文章がショートショートというジャンルにあたることをつい最近知りました。
いろんな人格が持ち寄った怖くない百物語のイメージで投稿できたらいいな。
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