鏡越しのタマゴ
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「今日はどんな感じで?」
常連のミキさんを席に通し、正面のミラー越しに微笑みかける。どうしたんだろう。この彼女らしくもない、ひどい寝癖は。
「さては起きたまま来ましたねー。でもこういうテイストの鳥の巣パーマも、いまパリで流行ってましてね」
美容師っぽく軽い冗談を投げてみても、ミキさんは無表情のまま溜め息をつく。
「やっぱり鳥の巣…ですよね。そっと覗いてみてください。卵があるでしょ」
托卵です、とミキさんは消え入るような声で呟いたかと思うと、突然両うでを広げて叫び声を上げだした。
え、ちょっと待って。たしかに卵あるけど…。指先で摘みあげようとすると、ミキさんは身をよじって、いっそう甲高い声を響かせた。
「私、決めたの!育てる!だから、卵が寒がらない髪型にして!」
分かったよ、ミキさん。でもちょっと落ち着いて。そんなありきたりにトサカきちゃったら、飛べるものも飛べやしない。
常連のミキさんを席に通し、正面のミラー越しに微笑みかける。どうしたんだろう。この彼女らしくもない、ひどい寝癖は。
「さては起きたまま来ましたねー。でもこういうテイストの鳥の巣パーマも、いまパリで流行ってましてね」
美容師っぽく軽い冗談を投げてみても、ミキさんは無表情のまま溜め息をつく。
「やっぱり鳥の巣…ですよね。そっと覗いてみてください。卵があるでしょ」
托卵です、とミキさんは消え入るような声で呟いたかと思うと、突然両うでを広げて叫び声を上げだした。
え、ちょっと待って。たしかに卵あるけど…。指先で摘みあげようとすると、ミキさんは身をよじって、いっそう甲高い声を響かせた。
「私、決めたの!育てる!だから、卵が寒がらない髪型にして!」
分かったよ、ミキさん。でもちょっと落ち着いて。そんなありきたりにトサカきちゃったら、飛べるものも飛べやしない。
青春
公開:20/11/11 23:06
400字って面白いですね。もっと上手く詰め込めるよう、日々精進しております。
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