お茶ください

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はぁ、どうして僕は対人恐怖症なのだろう。
困るんだよな。
でも塩辛い料理を食べてもう我慢の限界だ。
勇気を振り絞って言うしかない。
「すみません」
「はい、なんでしょう?」
「あの…私ごときがあなた様にこのようなことをお伺いするのは大変憚られると申しますか、なんと申しますか、私のような下賤な身でありながら身分もわきまえずやって来て畏れ多くもこのようなことをあなた様に申し上げて貴重な時間を頂き、煩わせてしまうことは大変心苦しく、いっそこの場で私は首をくくってしまおうかと思うほどでございますが、一言だけ、申し上げてもよろしいでしょうか?」
「は、はい。…なんでございましょう?」
店員さん、すごく青ざめている。
「あの」
「はい…」
ゴクリと生唾を飲み込む音。
「…お茶、ください」
「え?」
「お茶…」
「かしこまりました!」
あああ、やっとお茶が飲める!
今年一年分の勇気、使い果たしたああー!
その他
公開:20/11/11 11:16

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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