ユカリコーダー
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猫の妖楽器店にリコーダーを持った老人が来た。
「おや、異界からのお客様だねぇ」
猫耳を付けた店主がにこやかに言う。
「これは本家ゆかりの大切なリコーダーなんだが、葬儀のとき孫が棺に入れてしまったんだよ」
「ユカリコーダーか。焼かれて妖気を失ったようだな」
リコーダーは店主の手により甦った。店主が指笛を吹くと、導かれるように少年が来た。
「爺ちゃんが夢でここに来いって」
「これを頼まれたんだ」
店主がリコーダーを渡すと少年は祖父と練習した曲を奏でた。
瞼を閉じると、コンサートの舞台で演奏していた。観客のなかに祖父を見つけた。
曲が終わると拍手喝采のなか祖父のもとに駆け寄り抱きついた。
「リコーダーがあればいつでも会える。だからもう泣くな」
「……うん」
瞼を開けると、少年はリコーダーを持って街に佇んでいた。
「爺ちゃん。ありがとう」
黄昏の空に祖父を浮かべ、少年は前を向くと勇足で歩き始めた。
「おや、異界からのお客様だねぇ」
猫耳を付けた店主がにこやかに言う。
「これは本家ゆかりの大切なリコーダーなんだが、葬儀のとき孫が棺に入れてしまったんだよ」
「ユカリコーダーか。焼かれて妖気を失ったようだな」
リコーダーは店主の手により甦った。店主が指笛を吹くと、導かれるように少年が来た。
「爺ちゃんが夢でここに来いって」
「これを頼まれたんだ」
店主がリコーダーを渡すと少年は祖父と練習した曲を奏でた。
瞼を閉じると、コンサートの舞台で演奏していた。観客のなかに祖父を見つけた。
曲が終わると拍手喝采のなか祖父のもとに駆け寄り抱きついた。
「リコーダーがあればいつでも会える。だからもう泣くな」
「……うん」
瞼を開けると、少年はリコーダーを持って街に佇んでいた。
「爺ちゃん。ありがとう」
黄昏の空に祖父を浮かべ、少年は前を向くと勇足で歩き始めた。
ファンタジー
公開:20/11/11 09:32
縁(ゆかり)
猫の妖楽器店
リコーダー
猫
ショートショートの神様、星 新一を崇拝しています。お笑い好きで怪談も好き。
お笑いネタのような作品が多いですね(笑)
【受賞作品】
「渋谷シティ」
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞受賞。
「我が家の食卓」
ベルモニーショートショートコンテスト入賞。
「電車家族」
隕石家族ショートショートコンテスト入賞。
「大男の力自慢大会」
「スカイフィッシング」
空想競技2020ショートショートコンテストW入賞。
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