君という名のメロディ

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靴を履いてトントンとつま先で床を叩く。
胸の伴奏が始まる。
ドアを開け、いつもの公園を抜けて学校へ。
私の中には今日も伴奏が鳴っている。
前髪を歩きながら櫛で整え、その櫛を制服のポケットにしまう。
でも肝心のメロディだけがまだ始まらない。
クラスメイトとも仲良くなったし、部活にも入った。
友達と遊びに行く約束もした。
伴奏は少しずつテンポを増して、音量も大きくなる。
それなのにメロディだけは始まらない。
いつになったら始まるの私の——

ドンッ

「邪魔だ!」
突然、私の伴奏は止まった。
すれ違いに肩がぶつかって怒鳴るおじさん。
怖い。
「気にすんな」
え…
振り返るといつも無口な拓真(たくま)君が…。
「弱い女子供にしか牙を剥けないダサい奴なんだよ、ああいうのは…」
私と目を合わさずにさりげなく。
でも私に向けて。
強く弾かれた胸のリズム。
そして、君という名のメロディが鳴り出したの。
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公開:20/11/09 10:20
更新:20/11/09 10:45

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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