十三万歳の猫

世界最高齢の猫は推定十三万歳である。もはや化け猫千匹分だ。世界の化け猫が恐れ敬うわけである。
年齢推定は、リビアヤマネコがイエネコと分れたのが十三万年前とほぼ確定しているから出せた。彼女が最初のイエネコであり、全ての家猫の母である可能性が高い。

その世界最高齢のネコがいよいよ大往生を遂げようとしていた。
世界最高峯の獣医たちが懸命な治療をしていたが、如何ともしがたい。
葬儀は世界中の宗教人、トップ聖職者達が集まる祭典と化す方向だ。

死の床にあると思われた猫が突然化けた。
『我はこの時を待っておったのじゃ。世界の宗教の頂点に我々猫属が立つ日をな』
『皆の者見よ、皆がワシを崇めておる』
『猫が最も優秀であることを世界中に知らしめるのだ』
世界中の高位聖職者が一三万歳の化け猫を崇める様子は、直ちに猫達によってニャットで配信された。
かくして猫族の支配する世界が始まった。