疲れ

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 T氏の友人は、会社に来て早々にため息をついた。
「疲れた。腹減った」
「おいおい、まだ朝だぞ? 昨夜飲みにでも行ったか?」
「いや、言ってない。昨日も、おとといも、9時間寝た。睡眠不足でもない」
 疲れを引きずりでもしたのだろうか? T氏は脳をフル回転させたが、いい発想は思い浮かばなかった。
「激しい運動でもしたか?」
「いや、会社から帰って社宅で家事をして寝ただけだ。一人暮らしだし。今週は、変な食い物も食ってない。休日も寝て過ごしたし、本当、何なんだろうな」
 家で変わったことがないとすると、会社で何かあったのだろうか。
「会社の予防接種!」
「それだ!」
「な~んだ。簡単なことじゃないか」
 ははは、と笑い合った後、T氏は重い溜息をついた。
「で、今日は何時間残業するんだろう」
「さあ、でもさすがに昨日見たく5時間ってことはないだろう」
「3時間くらいで終わるといいよな~」
「な~」
SF
公開:20/11/08 21:20

ゆぅる( 東京 )

お立ち寄りありがとうございます。ショートショート初心者です。
拙いなりに文章の面白さを追求していきたいと思って日々研究しています。
よろしくお願いします!

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