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郵便局に勤める私は今日も手紙に風景印を押していく。
普通の人からすれば少し変わった消印。コレクターからすればとりあえず集めておこうかという消印。
名所でもない田舎の田園風景が消印になっているのだ。興味を持たれなくても仕方ないと思う。
それにこの消印を一番利用しているのは私である。実家の両親に向けて日々の出来事を綴っては頻繁に手紙を送っている。
手書きの文字は正直で私の内面を写し出す。『大丈夫』と書いた心は大抵大丈夫じゃない。
両親は私からの手紙を心待ちにしてくれている。私も両親からの返事を心待ちにしている。

”ついに復元したぞ!”
その一報を受けた時、私は首を傾げた。何の事だろう?
その正体を知るべく、私は連休を利用して実家に帰省した。
驚いた。土地開発でボロボロになっていたはずの田園風景が元に戻っているではないか。
「風景を切り取った風景印。それをボロボロの風景の上に貼り付けたんだ」
公開:20/11/08 19:19
更新:20/11/10 18:59

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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