アンバーミング

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絶縁した実家から封筒が届いた。中に入っていた手紙には一言”父が死んだ”と書かれている。
業務連絡のようなそれはもう遺産分与まで終わった事を言外に意味していた。
封筒を逆さまにすると小さな石が転がり落ちた。思わず顔を顰める。
人工琥珀・アンバーミング。遺体を長期保存するエンバーミングの造語で遺体を人工的に宝石化させる技術。何の嫌味か知らないがそれが入っていた。
これを捨てれば死体遺棄。引き取ってもらうにも金がかかる。舌打ちと共に封筒ごと適当に放る。

その夜、夢に父が現れた。何だ?家を捨てた不良娘を呪いに来たか?さすが樹液ならぬ呪液で固められたアンバーミング。
父は涙を流し私を抱きしめる。すまない、と呟き身を離す。微笑むと、結婚おめでとう、と告げ消え去った。
目を覚ました私は琥珀を手に取る。まさか呪いではなく祝い、寿液で固めているとは…
週末、旦那と実家に行くか。お腹の子も紹介したいからね。
公開:20/11/09 19:14

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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