ゆかりの鏡(十三)-終

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「なにみてるの、おじいちゃん?」
背中へもたれた重み。アルバムから手を離し、頭を撫でる。冷えた肩がじんわり温む。
「しゃしん?」
「星だよ。もうすぐ流れる」
「ニュースでやってた、らいおんのりゅうせい?ことしはだいしゅつげんだって」
「一時間に千個だからね。もう目がかすんで、おじいちゃんにはよく見えないが」
それがどんな光景か知っている。けれど、あんなにも美しい星に、この世で出会う事はない。
「おねがいすればかなうんでしょう?おじいちゃんがりゅうせいをみれますようにって、ぼくがおねがいしたげる」
生きている体温。生きている命の重さ。巡り巡り、流れゆく時間。
「いいんだよ。お前はお前の願い事をしなさい」
傾げた頭が跳ね、縁側へ駆け出す。
「あ、にいちゃんのほし!」
空を切るひとつ。
観測日に一週早い、先ぶれの星。毎年流れ来る、祝福の光。
「誕生日おめでとう」
振り返った笑みに、面影がにじむ。
ファンタジー
公開:20/11/09 14:12
縁~ゆかり 紫の鏡×賽の河原

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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