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二十回目のプレゼントを供えた夜、予感はあった。
これで叶わなければ、一生費やしても無理だ。ゆかりの鏡は『二十歳』が期限なのだから。それでもいいと、片方で覚悟もしていた。償えない罪を死ぬまで背負い続けるのが、僕には相応しいのかも知れないと。
夢にまで見たあの川が、いつかと同じく、流れを止めて目の前にある。
川原にしゃがんだ背中がひとつ。手にはラジコンヘリでなく、石ころを握っていた。川原に散らばる石を、拾ってズボンで拭いては、積み木の様に重ねていた。
「なんで戻った」
記憶にあるより、もっと冷たくて忌々しげな声だった。
「二度と来んな、今すぐあっちへ帰れ」
「兄ちゃん。一緒に帰ろう」
振り向きもせず鼻で笑った。
「帰れるのは片方。今度はお前が身代わりになんのか?」
「それでもいい」
新しく積んだ石が、小刻みにカチカチ鳴った。
「だって、元々僕が……!」
完成間近に見えた石山が、叩き崩された。
これで叶わなければ、一生費やしても無理だ。ゆかりの鏡は『二十歳』が期限なのだから。それでもいいと、片方で覚悟もしていた。償えない罪を死ぬまで背負い続けるのが、僕には相応しいのかも知れないと。
夢にまで見たあの川が、いつかと同じく、流れを止めて目の前にある。
川原にしゃがんだ背中がひとつ。手にはラジコンヘリでなく、石ころを握っていた。川原に散らばる石を、拾ってズボンで拭いては、積み木の様に重ねていた。
「なんで戻った」
記憶にあるより、もっと冷たくて忌々しげな声だった。
「二度と来んな、今すぐあっちへ帰れ」
「兄ちゃん。一緒に帰ろう」
振り向きもせず鼻で笑った。
「帰れるのは片方。今度はお前が身代わりになんのか?」
「それでもいい」
新しく積んだ石が、小刻みにカチカチ鳴った。
「だって、元々僕が……!」
完成間近に見えた石山が、叩き崩された。
ファンタジー
公開:20/11/09 14:06
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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