カゲウスクナール

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 この薬を飲めば、どんなに目立つ外見の人でも、人目を避けることができる。
 シミ治療中のため、残念な顔になっていたN子は、多大な費用を支払い購入。さっそく服用し、街中を歩いてみた。
「本当に気づかれない。でも、人が避けてくれなくなるのは不便かな」
 行きつけのカフェの店員にすら見過ごされた。
「すいませーん」
 店員は声がどこから聞こえたのかわからない様子で周囲をきょろきょろした。
「ここです、ここ!」
 手を大きく振り、猛烈アピール。ようやく店員が気づき、慌ててやってきた。
「すいません、気づかなくて」
「いいの! むしろうれしい」
「はぁ?」
 カフェからでたN子はスキップしながら道路を行く。もう、シミ隠し用のマスクも必要なさそうだった。
「薬を飲み続けたら、服装に無頓着になっちゃいそう。注意しなきゃ」
 呟いた瞬間、まばゆい閃光に目が眩む。
「まさかあの車! 私に気付いてな――」
SF
公開:20/11/07 21:44

ゆぅる( 東京 )

お立ち寄りありがとうございます。ショートショート初心者です。
拙いなりに文章の面白さを追求していきたいと思って日々研究しています。
よろしくお願いします!

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