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庭にむけ開かれた和室で2人の男が対峙している。上座は近江国の武将、浅川長政。向かいに座る男はその部下で後嶋賢豊だ。和室には殺意にも似た、張り詰めた空気が充満していた。
浅川の左手側に置かれているのは、浅川家に代々伝わるカブト。朱色に染め上げられ、金色の角がイヤでも目に入る。戦場で使ってもさぞかし目立つ代物だろう。
右手側に置かれているのは、ほかならぬ浅川自身が後嶋家に贈った竹光だ。生涯の配下となる誓いを立てた後嶋に、その心意気をほめたたえ贈られたものだ。どちらも金額には換算できぬ珠玉の一品である。
吹き抜ける風に誘われたように、庭先のししおどしにスズメが、1羽……2羽とまる。ししおどしがゆっくりと傾きはじめる。竹筒と水受けがぶつかり、「ゴトン」と音を立てたその瞬間。張り詰めた空気が、――変わる。どちらともなく、腹からの声で叫んだ。
「叩いて!かぶって!ジャンケンポン!!」
浅川の左手側に置かれているのは、浅川家に代々伝わるカブト。朱色に染め上げられ、金色の角がイヤでも目に入る。戦場で使ってもさぞかし目立つ代物だろう。
右手側に置かれているのは、ほかならぬ浅川自身が後嶋家に贈った竹光だ。生涯の配下となる誓いを立てた後嶋に、その心意気をほめたたえ贈られたものだ。どちらも金額には換算できぬ珠玉の一品である。
吹き抜ける風に誘われたように、庭先のししおどしにスズメが、1羽……2羽とまる。ししおどしがゆっくりと傾きはじめる。竹筒と水受けがぶつかり、「ゴトン」と音を立てたその瞬間。張り詰めた空気が、――変わる。どちらともなく、腹からの声で叫んだ。
「叩いて!かぶって!ジャンケンポン!!」
公開:20/11/07 20:07
たけのこです。
諸事情によりきのこたけのこ論争には加担できません。
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