いつまでに終わりますか

最初は老人から突然に問われた。
「あ、人違いですよ」と対応した。
続けざまに子連れの主婦から丁重に問われた。
「あの、誰かと間違われてませんか？」
偶然にしては気になったので話を聞こうとしたら主婦は行ってしまった。
意味が分からず、近くの不動産屋のガラス扉で自分の姿を確認する。
「おい！いつ終わんだよ！」
ガラの悪い男性が肩を怒らせながら近づいてくる。
思わず逃げ出した。何かがおかしい。
息も絶え絶え高架下まで逃げた。
「…もう終わりにしようや」
暗がりに溶け込んでいたホームレスの男性と目が合った。
野良犬もこちらに向けて吠えていた。
再び走る。すれ違う人が皆見ているような気がする。
偶然交番までたどり着いた。いっそ駆け込もう。

衝撃に思わず立ち止まった。
まさか自分の顔が掲示板のポスターに。

「使命手配 進捗報告せよ ○□株式会社」
新たに可決されたサボり禁止法が営業マンを包囲する。