運の良い話

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彼が家の前まで迎えに来てくれた。
「タマ、いい子にしているのよ」と愛猫に言い、ドアに手をかけた途端、タマが血を吐いた。
タマに駆け寄る。
「タマ、どうしたの?大丈夫?」
開きかけたドアから漏れた悲鳴に「どうしたんだ?」と彼が血相を変え、家の中に駆け込んできた。
「今すぐ、動物病院に行こう」
彼の言葉に頷くとタマを抱え、病院へと向かった。

『歯が抜けていますね。そこから出血したのでしょう』
ホッとした。大事じゃなくて良かった…
「ごめんね…今日のデート台無しにして…」
「何言ってんだ。目の前の命の方が大切だろ」
そう言ってくれる彼に惚れ直した。
そんな彼にお詫びも兼ねて家に招く。彼も惚れ直すような手料理を振舞ってやろう。
鼻歌交じりに料理を始める。
テレビから突然、緊急ニュースを告げるアラームが響いた。
何気なしに見てみると今日、デートで行く予定だった場所で落盤事故が起こっていた。
公開:20/11/08 19:18

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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