たこわさ

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「相席いいですよ。」
一人でメニューを眺めていた俺が店員にそう言うと、真っ赤な顔をした坊主頭で図体のデカイ男がすぐにやってきた。
「コンニチワ」とカタコトの日本語で挨拶をされ、会釈を返す。

持っていたメニューを渡したが、彼は困った顔をした。
「日本語、分かります?」
「……文字はダメ」
そう言うので、俺は自分のオススメを教えた。日本語を聞くことは出来るようで、彼は何を勧めても「ソレ食べる」「ソレも食べる」と答え、店を出るときには、すっかり仲良くなった。彼は続々と届く料理をすべて美味しそうに食べた。たこわさを食べたときなんて、美味さのあまりか、泣いていた。

「それじゃあ。」
店を出てそう告げると、彼は手を差し出してきた。彼の故郷には握手の文化が根付いてるらしい。でも俺は躊躇ってしまった。8本もある彼の手のどの2本を選んで握手すればいいのか、握手に馴染みの無い日本人の俺には分からなかった。
その他
公開:20/11/08 19:00
更新:20/11/08 19:16
初投稿

鬱な高校生

今まで長編を書いてきたので、いつも字数制限に引っかかります。SSド素人ですが、人生もド素人です。感想お待ちしております。

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