夢を配る
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大学生になった俺は、遊園地で着ぐるみのアルバイトをしている。ウサギの着ぐるみを着て、遊びに来た子供達に風船を配るのが俺の仕事。しかし、時給こそ良いもののかなりの重労働だ。
「どーせ中に入ってるのはオッサンなのに、こんなのから風船なんぞ貰って嬉しいか?」
そう言うと、先輩が笑った。
「そりゃお前、着ぐるみは子供達の夢だからな」
「はぁ」
先輩の曖昧な答えに、そう返すしか無かった。
俺も、昔は遊園地の着ぐるみが好きだった。一緒に写真撮って、風船貰って。でも成長して現実を知ってからは、そんな気にもなれない。
そろそろ辞め時かな、と、風船を持って園内を歩き回る。するとすぐに子供達に囲まれた。
「ウサギさんだ!」
「風船下さい!」
目をキラキラさせて俺を見上げる。どうせ中身はオッサンなのに。
まあ、でも。
この子達が現実を知るのは、もっと先でも良いのかもしれない。
小さな手に、俺は風船を手渡した。
「どーせ中に入ってるのはオッサンなのに、こんなのから風船なんぞ貰って嬉しいか?」
そう言うと、先輩が笑った。
「そりゃお前、着ぐるみは子供達の夢だからな」
「はぁ」
先輩の曖昧な答えに、そう返すしか無かった。
俺も、昔は遊園地の着ぐるみが好きだった。一緒に写真撮って、風船貰って。でも成長して現実を知ってからは、そんな気にもなれない。
そろそろ辞め時かな、と、風船を持って園内を歩き回る。するとすぐに子供達に囲まれた。
「ウサギさんだ!」
「風船下さい!」
目をキラキラさせて俺を見上げる。どうせ中身はオッサンなのに。
まあ、でも。
この子達が現実を知るのは、もっと先でも良いのかもしれない。
小さな手に、俺は風船を手渡した。
その他
公開:20/11/08 11:29
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