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「よく来たな。箸の勇者」
立ち上がるのは、長身の男。シミ一つ無い清潔なコックコートが翻り、頭にそびえるコック帽が揺れる。折り目正しく堂々とした態度は、彼が一流の料理人であることを暗に語っていた。
「あぁ。決着の時だ、匙の勇者」
対するは、屈強な体つきをした男。老舗の割烹を長年守ってきた板前姿は、只者ではない雰囲気を醸し出している。食材を見抜くその鋭い眼光が、目の前の男を捉えた。
「俺の考えは変わらん!お茶漬けにはスプーンだ」
「何を言う!お茶漬けは箸で食べると決まっている」
得物を手に、二人は距離を詰める。
コックの『栄光の匙』。
板前の『伝説の箸』。
お茶漬けから引き抜いた二つの武器、お茶漬けに選ばれた二人の勇者――料理人としても勇者としても、負けるわけにはいかない。
戦場に米が舞い、茶の嵐が吹き荒れる。
お茶漬け勇者たちの魂を懸けた戦いが、今まさに始まろうとしていた。
立ち上がるのは、長身の男。シミ一つ無い清潔なコックコートが翻り、頭にそびえるコック帽が揺れる。折り目正しく堂々とした態度は、彼が一流の料理人であることを暗に語っていた。
「あぁ。決着の時だ、匙の勇者」
対するは、屈強な体つきをした男。老舗の割烹を長年守ってきた板前姿は、只者ではない雰囲気を醸し出している。食材を見抜くその鋭い眼光が、目の前の男を捉えた。
「俺の考えは変わらん!お茶漬けにはスプーンだ」
「何を言う!お茶漬けは箸で食べると決まっている」
得物を手に、二人は距離を詰める。
コックの『栄光の匙』。
板前の『伝説の箸』。
お茶漬けから引き抜いた二つの武器、お茶漬けに選ばれた二人の勇者――料理人としても勇者としても、負けるわけにはいかない。
戦場に米が舞い、茶の嵐が吹き荒れる。
お茶漬け勇者たちの魂を懸けた戦いが、今まさに始まろうとしていた。
ファンタジー
公開:20/11/07 23:16
お茶漬け
「勝手に秋のお茶漬けデー」
11/4~11/13の期間、「勝手に秋のお茶漬けデー」と題しまして、お茶漬けの物語を投稿中!(ストーリーに繋がりはありません)
11/4:「御茶ノ漬駅へようこそ」
11/5:「茶漬湖の底へ」
11/6:「神々しきお茶漬け」
11/7:「お茶漬け勇者の箸と匙」
11/8:「茶漬中毒」
11/9:「米どころ、茶漬けの祟り」
11/10:「茶が先か、卵が先か」
11/11:「檻の中。お茶漬けと一人」
11/12:「お茶漬け博物館」
11/13:「明日のお茶漬け」
お茶漬け、完結。充実したお茶漬けデーになりました……!
Twitter、ゆった~りと更新予定です。
https://twitter.com/dirokichiro?s=09
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