くすりだな
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ぼくの家には大きな本だながある。パパが読むむずかしそうなぶあつい本や、ママが読む小さな本(ぶんこぼんというらしい)、ぼくが小さいころに読んでいた絵本と、読書感想文を書くために買ってもらった本も、みんないっしょに並んでいる。ふしぎなのは、そこに色んなおくすりも並んでいること。しっぷ、ばんそうこう、お腹がいたくなったり頭がいたくなったときに飲むおくすりもある。
「ねえママ、どうして本だなにおくすりがあるの?」
「本はね、おくすりとおんなじだからよ」
「そうだよ。本だなは、くすりだななんだよ」
幼い頃はその意味がよくわからなかったけれど、今なら分かる。僕も大人になったんだろうか。
心が疲れてしまった時、読みたい本がある。あともう少しだけ勇気が欲しい時、読みたい本がある。きれいな海を見たい時、初恋のほろ苦いときめきを思い出したい時、読みたい本がある。
今日も僕は、薬棚を眺めている。
「ねえママ、どうして本だなにおくすりがあるの?」
「本はね、おくすりとおんなじだからよ」
「そうだよ。本だなは、くすりだななんだよ」
幼い頃はその意味がよくわからなかったけれど、今なら分かる。僕も大人になったんだろうか。
心が疲れてしまった時、読みたい本がある。あともう少しだけ勇気が欲しい時、読みたい本がある。きれいな海を見たい時、初恋のほろ苦いときめきを思い出したい時、読みたい本がある。
今日も僕は、薬棚を眺めている。
その他
公開:20/11/06 15:32
きさらぎ とお です。
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