あなたへ

　私たちが出会って何年くらいたつかしらね。初めて会ったとき、あなたは急に私のことを撫でて抱きかかえたんですもの、そりゃあ驚いたし無礼な人だと思ったわよ。でも今思うとあの時の出会いがあってほんとによかった。縁って不思議なものね。そうじゃなかったら、私、こんなに幸せじゃないわ。態度にはぜんぜん出さないけどほんとにそう思っているのよ？あなたはいつも抱きしめてくれるし、キスだってしてくれる。まあ、それがたまに鬱陶しいんだけどね…。ふふ、好きよ、あなた。ねえあなたったら。聞いてるの？

　白い雌猫が鳴きながら彼女の飼い主に爪をたてる。
「いてっ、どうしたんだよココ。俺なんかしたか？」
　飼い主はそういいながら猫を抱きしめ、撫でた。