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鏡の中に入れたらいいのに。
時々そんなことを考えるのは、私以外そう少なくもないだろう。
特にそれは気持ちがズンと重たくなった時。
置かれた家具、右側にあるドア、本棚にぎっしり詰まった小説、壁に貼られた何枚もの写真。
全てが反転して映る鏡に、向こう側はこちら側の私とは違う生活をしているのではと、期待してしまうのだ。
向こう側はこちら側の私とは違う、悩みなんてこれっぽっちもない「私」なのでは、と。
もしも入れたのなら。
そう思って、クローゼットに取り付けられた細長い姿見の前へ立つ。
そして右腕を力なく上げ、そっと指先から手のひらへと鏡に触れ、向こう側の私と手を重ねる。
重ねたところから順々に、鏡の中へと波紋を広げてぬめり込んでいく——ところを想像した。
もちろん、そんなことにはならない。
そしてまた、力なく右腕を下ろすのだ。
こちら側が鏡の中だと知らずに。
時々そんなことを考えるのは、私以外そう少なくもないだろう。
特にそれは気持ちがズンと重たくなった時。
置かれた家具、右側にあるドア、本棚にぎっしり詰まった小説、壁に貼られた何枚もの写真。
全てが反転して映る鏡に、向こう側はこちら側の私とは違う生活をしているのではと、期待してしまうのだ。
向こう側はこちら側の私とは違う、悩みなんてこれっぽっちもない「私」なのでは、と。
もしも入れたのなら。
そう思って、クローゼットに取り付けられた細長い姿見の前へ立つ。
そして右腕を力なく上げ、そっと指先から手のひらへと鏡に触れ、向こう側の私と手を重ねる。
重ねたところから順々に、鏡の中へと波紋を広げてぬめり込んでいく——ところを想像した。
もちろん、そんなことにはならない。
そしてまた、力なく右腕を下ろすのだ。
こちら側が鏡の中だと知らずに。
ホラー
公開:20/11/08 07:00
400字
鏡
こんにちは 「いざよい」です。
ただただ好きで小説を読んだり書いたりしている高校生です!
お気に入り、コメントを頂き感謝です(⋆ᵕᴗᵕ⋆)"
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