運が良い話

0
2

私は母が怖い。
真っ白い肌。色の薄い唇を歪ませる姿が恐ろしい。
目の下のクマは酷く、何日も寝ていないように見える。
まるで人を呪い殺す魔女だ…
そんな母が掠れた声で言った。
「ほら、宝くじ高額当選した。これで貴方の欲しいもの、何でも買いなさい」
ぎこちない笑みを浮かべる母。
母はとあるジンクスを持つ。それは”体調が悪ければ悪くなる程、運が良くなる”というものだ。
今も病院のベッドで何とか体を起こし、何とか私と話している。
人工呼吸器が小さく揺れる。
母は自らの命を犠牲に幸運を手繰り寄せる。
そんな幸運はいらない!
私は母が元気でいてくれたらそれでいい!平凡な毎日が欲しい!
そう願う私の夢枕に神様が立った。私にも母と同じジンクスを与えてくれた。
その日から私は不眠不休の生活を続けた。
具合の悪くなる私に反し、母の体調が良くなる。
ああ…私は本当に運が良い…これで平凡な毎日が手に入るのだから。
公開:20/11/06 18:57

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容