隣のセイレーン

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「吾輩は猫である。名前はまだない」
有名な作品の冒頭を読み上げる君の声を聴いている。微睡ながらも耳を傾ける。それが実に心地良くて辞められない。
「どこで生まれたかとんと見当がつかぬ」
透き通る声は窓から澄んだ風を呼んだ。少し寒気を感じて隣の彼女を見ると、それに気付いたのか周りにバレないように彼女もこちらを見た。目が合うその瞬間、彼女は少しはにかんで笑った。再び眠りの淵へ向かう。きっとこれは彼女のせいだ。
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公開:20/11/05 03:09

霜月叶手

小説について色々調べてたらこのサイトにたどり着き、面白そうだったので始めました。ジャンルは色々試してみたいと思います。小説家になろうの方でも投稿しているので興味があったら覗いてみてください。どうぞよろしくお願いします。

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