エレジードリンク

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父が死んだ。
その一報に、溜息を吐いた。何もこんな仕事が忙しい時に死ななくてもいいじゃないか…
俺はエナジードリンクの量を増やした。仕事の合間に父の葬儀の段取りも進めていく。
「仕事と父さん、どっちが大切なの!?」
妹に怒られた。
当然、仕事だ。仕事がなくちゃ家族を養えない。そもそもこの葬儀だって俺の金でやっているんだ。まだ学生のお前にとやかく言われる覚えはない。
エナジードリンクを飲み、襲い掛かる疲れと眠気を追い払う。

葬儀当日。俺はエレジードリンクを飲んだ。
最後くらいは父に花を持たせてやる。悲しみに暮れる長男を演じてやる。
そんな俺を見て妹が謝ってきた。俺の演技に騙されてやがる!
参列していた上司から「暫く休んでいい」と言われた。やった!仕事から解放される!

葬儀が終わり、明日からの休みに思いを馳せる俺。
一人になった所でドリンクの効果が切れ、疲れと父を喪った悲しみがどっと出た。
公開:20/11/04 19:13
エレジー=悲歌・哀歌・挽歌

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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