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我々の視線は一点に釘付けとなった。
「誰だい、あの子」
「覚えてない、居たか、あんな美人」
「名前聞いてこいよ」
「バラモンの彼女だな、きっと」
同窓会会場の片隅で、学生時代リア充ヒエラルキー最下層に泰然と座していた我々は十年経っても変わらぬ格好でそんなことをぶつぶつ言い合っていた。
誰かが彼女に話しかける、二人は楽しそうに笑っている。話しかけた男は大きな声でつばを飛ばしている。
「コミヤさんかあ、あんまり変わったんでわかんなかったよ」
「小宮香澄?」
「あの大人しくて目立たなかった子か」
我々は思い出した。思い出したが、いま目の前に映し出される光景との整合性は依然として取れない。
「彼氏とか、いんの?」
男が聞いた。
「さすがバラモン、しびれる、あこがれるぜ」
「とか、ってなんだよ」
彼女ははっきりと、いるよ、と答えた。
我々は全霊を捧げて祝杯を交わした。
僕は虚しくて涙が出た。
「誰だい、あの子」
「覚えてない、居たか、あんな美人」
「名前聞いてこいよ」
「バラモンの彼女だな、きっと」
同窓会会場の片隅で、学生時代リア充ヒエラルキー最下層に泰然と座していた我々は十年経っても変わらぬ格好でそんなことをぶつぶつ言い合っていた。
誰かが彼女に話しかける、二人は楽しそうに笑っている。話しかけた男は大きな声でつばを飛ばしている。
「コミヤさんかあ、あんまり変わったんでわかんなかったよ」
「小宮香澄?」
「あの大人しくて目立たなかった子か」
我々は思い出した。思い出したが、いま目の前に映し出される光景との整合性は依然として取れない。
「彼氏とか、いんの?」
男が聞いた。
「さすがバラモン、しびれる、あこがれるぜ」
「とか、ってなんだよ」
彼女ははっきりと、いるよ、と答えた。
我々は全霊を捧げて祝杯を交わした。
僕は虚しくて涙が出た。
青春
公開:20/11/05 07:00
更新:20/11/04 11:55
更新:20/11/04 11:55
さまようアラフォー主夫
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