街の魔女が死んだ

街の魔女が死んだ。
老若男女問わず、街の人々は魔女を愛していた。
人々は魔女に魅了されており、出会う度に何かを貢ぎたくなる。
彼女も礼をいい、貢物を受け取っていた。
彼女の体系はスマートで、いつも黒のドレスを着ていた。
彼女は人々の頭上からすっと現れては、街の人達を驚かした。
そして、彼女はその場にいるだけで、人々を笑顔にした。
彼女は老衰で亡くなったようだが、死に際まで美人だった。
つい一週間前に彼女を見かけた時、彼女は元気そうだったのに。

不思議なことに彼女の亡骸は一人を除いて見てはいない。
魔女と同居していた老婆だけは彼女を看取り、丁重に埋葬したという。
彼女が愛用していたお皿と一緒に。

そんな魔女には子供がおり、その子の面倒を見てくれないかと老婆に頼まれる。
私は引き受けることにして、その子と一緒に家に帰る。
「ただいま。」
「わぁ、猫だ！」
私の娘が魔女の子を抱きかかえた。