二人の息子

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私達夫婦には、息子が一人居た。
だが、中学生になったばかりのある日、交通事故で突然私達の前から消えてしまった。
私も妻も、暫くの間、深い暗闇から抜け出せずにいた。

いつの頃からか、妻は亡き息子への想いを新聞に投稿し始め、度々掲載されるようになった。
かなりの反響が有り、地元の出版社から本を刊行するまでに至った。
そんな妻の姿に励まされ、私も仕事に打ち込んだ。


息子の三回忌が終わった翌日、市内の児童養護施設を訪れた私達は、陸という小学生の男の子を引き取った。
彼も事故で両親を失くしており、妻の本を読んで感動したらしく、妻に手紙をくれた。
それから、二人は会って話をするようになり、私も妻から彼のことは聞いていた。
そして、私と妻は、彼を養子にすると決めた。


「お父さん、お母さんに出逢わせてくれて、ありがとう」

陸が、亡き息子の墓前で手を合わせる姿を見て、私達は涙を流した。
その他
公開:20/11/05 13:26

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