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その家には、代々突然変異なのか盲目の色の無い赤子が産まれた。
立てず、喋れず、ただ生きている。
赤子はヒルコ様と呼ばれ、大事に大事にされたが、知能が発達することはなく、喃語を繰るのみだった。

ある年、十何代目かのヒルコ様が産まれて十数年後の事、流行り病で家の者が儚くなった。

妻を喪った家長は、怒りに任せてヒルコ様を屠った。
止めようとした己の父母と実子、家の使用人、家の中の者全てを鏖殺した後、自害した。

ヒルコ様とその家の者の血は混ざり、広がり、腐敗臭を撒き散らし、田畑を腐らせた。

その地域の果実や作物を食べた者は、目が腐って落ち、足腰が立たなくなり、喃語しか話せなくなった。

それは、蜿蜒と紡がれる筈の未来を断たれた代々のヒルコ様の祟りなのか、それとも、神と奉られ都合良く扱われた挙げ句殺された代々の…。

今や、その地は人の手も入らぬ場所となり、静かに眠りについていると言う。
ホラー
公開:20/11/05 06:32

右左上左右右

アイコンは壬生野サルさんに描いて頂きました。ありがたや、ありがたや。

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